7. 女子の留置場生活
男性用の留置場は、各警察署にそのフロアがあるらしい。
一方の女性は、施設が限られていて、東京23区内であれば、お台場にある湾岸警察署、原宿警察署、警視庁西が丘分室の3箇所しかないようだ。
私がいた原宿警察署は、数年前に石原前都知事が新築したもので、収容人数が都内最大級とのこと。
通りでとても奇麗な建物で、洋式のトイレもピカピカだった。
留置場のトイレは、窓ガラスから中が丸見えで、ギリギリ下半身が見えない高さまで壁がある。ドアの代わりにあるのは、鍵のかからない小さな板のみという自殺防止の作りになっている。
建国してから一度も掃除をしていないような暗くて汚いインドのトイレとか、ハエが100匹いるようなアフリカとか、便器がない南米とか、もはやトイレという建築物が存在しないため草原がトイレだったり。
そんな世界からすると、留置場は天国。
女性用の留置場は、担当官も全員女性で、ちょっと怖いお姉さん達の監視のもと、合宿をしているような心地よさを日に日に噛み締めていたのでした。
あとは、肌荒れには、その都度申し込んで使えるオロナイン。
週に一度しか注文のチャンスがないのを知らされず、入所時にニベアを買っていなかった私は、洗顔後に塗るものが何もなくて困りました。
(やっぱり買いたいと後でどんなに懇願しても通用しません。笑)
日本人女子の代名詞が「資生堂」であるように、肌の保湿に欠かすことの出来ない化粧水ですが、
それがここでは手に入りません。
一切所持使用禁止、使用禁止、差し入れ禁止。
6. 留置場に到着 ~初日の夜~
いざ到着してみると、想像していた暗くて怖くて孤独で地獄のような場所とは真逆で、とても奇麗で明るい施設であることに、驚いた。
まずは個室で、
・持ち物を一つずつ検品され、
・身体検査で裸にされて体中をまじまじと見られ(これは何の傷かと聞かれる)、
・問診で健康状態や常用薬などを確認され、
・下着や歯ブラシなど購入アイテムを決められ、
・上下スウェットに着替えさせられ
疲れていたのもあって、布団を引いたらすぐに寝付いた。
5. 留置場へ送り届けられるの巻
警察署での取り調べが終わり、女性が入ることのできる留置場は限られている(都内ならば原宿か湾岸)ので、その手配が整った後、出発した。
移動する車内で刑事さんから言われた言葉が忘れられない。
敵なのか味方なのか分からなくなって、戸惑いました。
4. 警察署での取り調べ
ポリスステーションに着いたら、執務スペースを横断し、取り調べ室に入った。
女性だからか、何が珍しかったのか、それともそれが普通なのか、警察官が入れ替わり立ち替わり、覗きに来た。
取調室に入ったら、手錠をかけられ、取り調べと並行して、問診、所持品のチェック、写真撮影、指紋登録、次から次へと書類にはんこを押す作業が待っていた。
取り調べの本題は、海外逃亡についてだった。
「逃げてたのか?」
逃げていたという認識は全くありません。飛行機に乗っただけです。
あの人のママに会うという理由もなしに、一人飛行機に飛び乗り、
知らない街で魔女になる修業をしてきました。700日かかりました。
(意味不明)
そうこうしているうちに夜になった。
この日、朝から何も食べていない私は、お腹が減っていた。
刑事ドラマのようなカツ丼はでなかったけれど、おにぎりのセットを出してくれた。
特に、一緒に入っていたウインナーが途轍もなく美味しく感じた。
日本に帰ってきてからというもの、海外にいた反動もあって、
明日死んでも後悔しないくらいに和食を食べ尽くしていた私だけれど、
ミシュランでも、この時のウインナーには勝てない。
警察署での取り調べも済んだので、いよいよ留置場へ送致されることになったのが、
夜20時を回った頃だった。
3. 車の中で見せられた「逮捕状」
警察署へ向かう車の中で、まだ執行しないけれどと前置きがあった上で、
刑事さんから一枚の紙を見せられました。そこには「逮捕状」の文字があった。
それどこか、ほっとした自分がいました。
受け止めることが今の自分にならできると、そんな悟りがあったのかもしれません。
反省は毎日で 悔やまれることが多すぎて
とglobeの歌詞にあるように、人が一日で出来ることなのに、
私は玄関の扉を開けるのに3年かかりました。
2. 逮捕の朝
そのまま覆面ワゴンで警察署へ連行される運びとなったのだが。
張り込み等も含めて長時間にわたる逮捕劇だっただろうから、車に乗りこむ前に、
警察の方々に「お手洗い、どうぞ使ってください。」と気の利いたことが一つや二つ言えたらよかったと今になって思う。人間、こういう時に、気遣いが出来る余裕を見せられるかが表れるのかもしれない。
それにしても、私一人のために、10人ほどの大人数でお迎えとは、人件費すごいな。
1. 自分探しの旅をしても自分はどこにもいなかった
旅をしたら、逮捕されました。
警察が私を追っている間に、私はポケモンを追いかけていたのです。というのは勿論冗談で、決して警察から逃げていた訳ではなく、きっと自分から逃げていたのだ。弱虫の自分から。
通りで自分はどこにもいなかった訳だ。
最後は、警察が指名手配しました。
最終的に不起訴処分で終わりましたが、貴重な体験をしたと前向きに捉えています。
どうせなら、笑える手記を残したいと思います。