ちょっと合宿に行ってきた。

真面目に笑える手記を書きます。逮捕勾留の貴重な経験を、誰かのためになればと、書き綴るブログです。

留置場でのロングバケーション

 

「神様がくれた長い休暇だと思って。」

 

突然の逮捕に続く勾留で、世間から隔離され、この先どうなるのか分からない。

旦那なし、財産なし、協調性なしの三重苦な上に、今度は浦島太郎か。

「人生起こること全てに意味がある」弁護士にそう言われても、どう意味付けをしたら良いか分からない。

逮捕は、警察の気分次第なところがあるので、なぜいきなり拉致されて自分が今こういう状況に置かれているのか全く理解できない。

そんな時に、頭をよぎったのが冒頭のキムタクの名台詞です。

 

留置場生活は、やることがないくせに朝早く起こされ、本当に暇で発狂しそうになります。昼寝をするにも、夜9時就寝なのでこれ以上眠気がありません。

考え事をするか、何も考えないでぼーっとするか。インドの瞑想修業に思えてくる。

暇つぶしというと、新聞を読むか、読書しかすることがない訳ですが、これが最高の時間なのです。

普段の生活では、肌身離さず持っているスマホ依存で、ニュースもネットで読んでいるが、逮捕されてからは、電波を発する機器の持ち込みが禁止なので携帯電話を取り上げられていて、外部との連絡はおろかもちろんインターネットもできない。

そして、留置場は、これが都会のど真ん中だとはとても思えないほど、とても静かな環境で、耳を澄ませば、鳥の鳴き声が幽かに聞こえてくる。

 

まとめると、世間の雑踏から隔離され、ネットから解放され、冷暖房完備のきれいな建物にひきこもって、上下スウェットという最も楽な格好で、寝転がって、大好きな読書に没頭できるのは、むしろ、 贅沢な時間なのではないか。

 

これが試練だとしても、長い人生、こういう時間があってもいいかもしれない。 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

カレンダーの数え方

 

逮捕されると、きっと誰もが考えるのが、48時間の逮捕期と20日の勾留期を合わせて、

自分は一体いつここから出られるのかということ。

 

スマホは取り上げられている、インターネットも使えない、紙のカレンダーすら見ることができない生活の始まりです。

トンネルを抜けると雪国なのか、裁判なのか。

私自身、起訴されたら更に3ヶ月は帰れないよと弁護士に言わていた。

一人暮らしの場合、一ヶ月家を空けたらインフラが止まり始め、家賃も払えず追い出され、釈放されても帰るところがなくなるではないか。

 

朝起きて、読書をして、お昼ご飯を食べて、読書をして、寝る。省略されている、布団片付け、洗面、歯磨き、ニベア、点呼なども毎日決まった時間にある。

これほど規則正しい生活を判で押したように毎日繰り返していると、今日は一体いつなのか分からなくなる。

 

◯月◯◯日逮捕、二日後に検察、三日後に勾留質問・・・

数え始めても、そのあたりから日付は把握しなくなり、むしろ日付はいらないことに気付き、曜日のみで生きるようになり、4日に1回のお風呂が待ち遠しくて、カウントダウンが僕らの使命。

 

 月火水金土日

 風火水木土日

 月水木金

 

みんなのはしゃぎっぷりと言ったら、ここでは、お風呂がディズニーランド!

仕舞いには、20日間の勾留を4で割った。(笑)

 

取調中、いきなり釈放と言われた瞬間、「そんなの困ります。明日、お風呂の日なんです」と真顔で言いかけたのが私です。

 

この記事で言いたかったことは、留置場のシャワーがコンドミニアム仕様で豪華だったということです。

 

 

 

 

 

 

 

人生なにが起こるか分からない。だから、お財布には多めにお金を。

 

 「ラブストーリーは突然に」に負けず劣らず、逮捕も突然やってくる。

それは、まるで拉致のようだと前記事に書いた。

 

uniikurahime.hatenablog.com

 

 

 

「なぜ逮捕されたのか?」と聞かれたら、逮捕状が出たからとしか答えようがない。

 

警察が突然家に来て連行されると、その後を見越して途中でATMに立ち寄ってくれるなんてことは、罷り間違っても絶対にない。

 逮捕されて留置場に送り込まれると、お財布の中にある所持金の範囲内でしか、生活物資の購入が出来ない。

 

歯ブラシ、タオル、下着など、必要最低限のものを半ば強制的にリストアップして買わされ、それだけで3000〜4000円かかる。

その代金は、釈放時に、所持金から勝手に天引きされる。(笑)

 

所持金の足りない人は、新品ではないが一通りのものは貸してもらえる。

 

食べ物を差し入れてもらうことはできないが、現金は可能なので、面会に来た人に借りるなり、弁護士にキャッシュカードを預けて下ろしてきてもらうなり、手段はあるが、面会にくる友人がいない、強がって弁護士も頼んでいない人(私)は、本当に心許ない思いをします。

 

お金さえあれば、自弁や飲み物を買ったりも出来る。

 地獄の沙汰も金次第なのである。

 

人生何が起こるか分からないので、お財布には多めにお金を入れておきましょうというのが、教訓でした。

 

クレジットカードやお財布携帯の利便性にどっぷりはまり、キャッシュレスの生活が当たり前になっていた 私は、「店前現金掛け値なし」という越後屋の原点にまで返って(大げさ)、現金の大切さを思ったのです。

 

 

これを読んでいる皆さんは、突然の逮捕 急な震災に備えて、多めに入れておきましょう。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本の長すぎる勾留時間

 

 

英語で言うところのロングステイです。

最大22泊となります。

 日本ではどうやら警察が逮捕状を請求すると、99.99%という純金に迫る勢いで裁判官はあっさり発行し、そのうちお迎えがやってきて逮捕に至る。

逮捕されると、検察に身柄送検され、検察官が「逃亡の恐れあり」とか言って簡単に勾留を請求すると裁判官はほぼ認めるので、もれなく10日間の勾留が決定し、それでも足りなければ、もれなく10日間延長となる。

もはや、一度逮捕状が出てしまったら、エスカレーター式で勾留までいくと言っても過言ではない。

 

調べたところによると、欧米とはかなり相違があるようだ。

 

1 逮捕・勾留時間
  日本 23日
  欧米 2~3日

 

波があるかないかは天地の差!笑



2  勾留場所
  日本 警察代用監獄(被疑者を無制限に取り調べ可能)
  欧米 関係の無い拘置所(取調べには拘置所規則の厳格な制約がある)

3 取調べに際しての弁護士の立会
  日本 許されない
  欧米 当然認められる

4 勾留の目的
  日本 自白獲得(長い拘留期間を利用して自白を引き出す)
  欧米 客観的証拠の収集(被疑者の供述を得る程度)

5 警察の機能
  日本 自白の獲得等、供述証拠の獲得に長ける
  欧米 客観的証拠の獲得に長ける

 

 

自白至上主義につきましては、別途記事にします。

 

 

 

 

 

 

 

逮捕されたというよりも、拉致された

 

私の場合は、通常逮捕だったのですが、拉致されたという感覚です。

 

当日を振り返ってみる。 

突然、玄関のチャイムが鳴り、出てみたらそこには4人の警察官がいた。

 

「話が聞きたい」と繰り返し言う。

 

このあと仕事があると丁重に伝えても、「場所を変えて話をしよう」「移動する車の中で話をしよう」「歩きながら話をしよう」「君に聞きたいことがある」と、

一歩間違えたらただのナンパになるフレーズを、次々と巧みに言葉を変えて説得しているように見えた。

半ば強制的に、「とりあえず出かける準備をして」と言われ、話が終わったら仕事に行けるかのようなニュアンスで錯覚させ、女性警察官立ち会いのもとで着替えさせた。

「貴重品を持って」と、後ほど逮捕する時に必要な身分証もちゃっかり所持させた。

 

地下に停まっていた覆面の車に乗りこんだら、もちろんサイドには警察官が座り、まだエンジンのかかっていない静かな車内で、一枚の紙を見せてきた。

そこにはこう書いてあった。「逮捕状」。この時になってはじめて「逮捕」という言葉を聞かされた。

 

「逮捕状が出ているのでお迎えに来ました」となぜ最初に説明しなかったのか。

 

玄関先で10人で私を取り囲むという実質監禁状態で、その事実を知らされたからといって逃げようがないにも関わらず、話が聞きたいと言って騙して連れ去り、携帯電話を取り上げ、外部と連絡が取れない状況にして密室に監禁です。

 

 これを、拉致と言います。

 

話が聞きたいのか、逮捕がしたいのか。

話を聞くだけなら逮捕しなくても出来るので、「話が聞きたい」ではなく「逮捕がしたい」と初めから言ってもらえたら大変分かりやすいです。逮捕したら、いくらでも話が聞けるでしょう。

 

もちろん、拉致だ何だと抗議をしてみても埒が開かないので、真摯に受け止めています。笑

 

 

 

 

ゆかいな仲間達

 

 

同房のメンバーのこと。

一番気が合うKさんは、外国籍の40代女性で、面倒見がよく、優しくて、すでに二ヶ月いるというベテランだった。

 

私が、留置という名の強制合宿に連れ込まれたのは深夜だった。

すでに就寝時間を過ぎていたので、布団一式を抱えた状態で部屋へ案内され、こういうところではどう挨拶をするのか、それもままならず、部屋へ転がり込んだ。

昔から知り合いだったかのように、部屋の皆が布団カバーをかけるのを手伝ってくれた。

後に、Kさんとは、朝から晩まで抱腹絶倒の仲となる。精神が参るどころか、数年分笑ったので、もはや、免疫強化合宿となった。

Kさんは、自分のことを犠牲にしてでも相手に譲る心優しい人だった。

こんな神様みたいな人がなぜ捕まっているのかを、神様に聞きたい。

 

質素な具しか入っていないお弁当の中から、私の好きな物をいつもそっと分けてくれる。(担当官に目撃されたら、もちろん怒声が飛んでくる)

奇麗好きで、暇さえあればお掃除をしてくれる。トイレの中まで自主的にやってくれる。もはや、トイレの女神様。

それでいて、ユーモアがあってめちゃくちゃ面白い。Kさんが話すのは片言の日本語だけれど、通じ合えた。

言葉は心を越えない。心は国境を越える。

 

よく、逮捕されたら人生終わりだとか、仕事を失う、友達を失うと聞く。

自然界で友達と言える友達がまともにいなかった私は、皮肉にも、逮捕されたから分かり合える仲間が出来た。ありがとうと言いたい。名前も知らない君に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

留置場では敬語を忘れる


 
留置場での毎日が、あろうことか外に居るより楽しい時間を過ごせたのは、同房のメンバーに恵まれていたからだと思う。不幸中の幸いとはこれのこと。
 
 留置場はとても辛い、精神が参る、はじめて精神安定剤を飲んだとよく耳にするのとは裏腹に、朝から寝る寸前まで、腹を抱えて笑いっぱなしだった。こんなに可笑しくていいのかなと置かれた環境を疑うほどの抱腹絶倒の日々。

まず、留置場の中では、名前の代わりが番号で、例えば「567」なら、下2桁をとって「ろく・なな」と呼ばれる。

担当官
「ろくなな、弁護士先生来たよー!」
「ろくなな、起きて!」
「ろくなな、明日護送ね」

仲間
「ろくなな、何泊目?笑」

番号で呼ばれることが人権無視だという意見もあるが、自分はなんとも思わなかった。
外国ではファーストネームで呼び捨てにするのが一般的なのに比べ、日本では「さん」付けをするので、名前で呼んだところで他人とはどこか距離がある。そして、敬語で話すという日本の習慣があるが、警察官は職業柄、敬語を使わない。
留置場では、外国人が大半だったのもあって、敬語を用いずのラフな会話を交わしていた。
男主任と呼ばれる気さくな男性警察官とは、よく世間話をした。怖いイメージしかなかった女性担当官達も、フレンドリーだった。

ここでは、人との距離がとても近い気がした。