ちょっと合宿に行ってきた。

真面目に笑える手記を書きます。逮捕勾留の貴重な経験を、誰かのためになればと、書き綴るブログです。

人生なにが起こるか分からない。だから、お財布には多めにお金を。

 

 「ラブストーリーは突然に」に負けず劣らず、逮捕も突然やってくる。

それは、まるで拉致のようだと前記事に書いた。

 

uniikurahime.hatenablog.com

 

 

 

「なぜ逮捕されたのか?」と聞かれたら、逮捕状が出たからとしか答えようがない。

 

警察が突然家に来て連行されると、その後を見越して途中でATMに立ち寄ってくれるなんてことは、罷り間違っても絶対にない。

 逮捕されて留置場に送り込まれると、お財布の中にある所持金の範囲内でしか、生活物資の購入が出来ない。

 

歯ブラシ、タオル、下着など、必要最低限のものを半ば強制的にリストアップして買わされ、それだけで3000〜4000円かかる。

その代金は、釈放時に、所持金から勝手に天引きされる。(笑)

 

所持金の足りない人は、新品ではないが一通りのものは貸してもらえる。

 

食べ物を差し入れてもらうことはできないが、現金は可能なので、面会に来た人に借りるなり、弁護士にキャッシュカードを預けて下ろしてきてもらうなり、手段はあるが、面会にくる友人がいない、強がって弁護士も頼んでいない人(私)は、本当に心許ない思いをします。

 

お金さえあれば、自弁や飲み物を買ったりも出来る。

 地獄の沙汰も金次第なのである。

 

人生何が起こるか分からないので、お財布には多めにお金を入れておきましょうというのが、教訓でした。

 

クレジットカードやお財布携帯の利便性にどっぷりはまり、キャッシュレスの生活が当たり前になっていた 私は、「店前現金掛け値なし」という越後屋の原点にまで返って(大げさ)、現金の大切さを思ったのです。

 

 

これを読んでいる皆さんは、突然の逮捕 急な震災に備えて、多めに入れておきましょう。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本の長すぎる勾留時間

 

 

英語で言うところのロングステイです。

最大22泊となります。

 日本ではどうやら警察が逮捕状を請求すると、99.99%という純金に迫る勢いで裁判官はあっさり発行し、そのうちお迎えがやってきて逮捕に至る。

逮捕されると、検察に身柄送検され、検察官が「逃亡の恐れあり」とか言って簡単に勾留を請求すると裁判官はほぼ認めるので、もれなく10日間の勾留が決定し、それでも足りなければ、もれなく10日間延長となる。

もはや、一度逮捕状が出てしまったら、エスカレーター式で勾留までいくと言っても過言ではない。

 

調べたところによると、欧米とはかなり相違があるようだ。

 

1 逮捕・勾留時間
  日本 23日
  欧米 2~3日

 

波があるかないかは天地の差!笑



2  勾留場所
  日本 警察代用監獄(被疑者を無制限に取り調べ可能)
  欧米 関係の無い拘置所(取調べには拘置所規則の厳格な制約がある)

3 取調べに際しての弁護士の立会
  日本 許されない
  欧米 当然認められる

4 勾留の目的
  日本 自白獲得(長い拘留期間を利用して自白を引き出す)
  欧米 客観的証拠の収集(被疑者の供述を得る程度)

5 警察の機能
  日本 自白の獲得等、供述証拠の獲得に長ける
  欧米 客観的証拠の獲得に長ける

 

 

自白至上主義につきましては、別途記事にします。

 

 

 

 

 

 

 

逮捕されたというよりも、拉致された

 

私の場合は、通常逮捕だったのですが、拉致されたという感覚です。

 

当日を振り返ってみる。 

突然、玄関のチャイムが鳴り、出てみたらそこには4人の警察官がいた。

 

「話が聞きたい」と繰り返し言う。

 

このあと仕事があると丁重に伝えても、「場所を変えて話をしよう」「移動する車の中で話をしよう」「歩きながら話をしよう」「君に聞きたいことがある」と、

一歩間違えたらただのナンパになるフレーズを、次々と巧みに言葉を変えて説得しているように見えた。

半ば強制的に、「とりあえず出かける準備をして」と言われ、話が終わったら仕事に行けるかのようなニュアンスで錯覚させ、女性警察官立ち会いのもとで着替えさせた。

「貴重品を持って」と、後ほど逮捕する時に必要な身分証もちゃっかり所持させた。

 

地下に停まっていた覆面の車に乗りこんだら、もちろんサイドには警察官が座り、まだエンジンのかかっていない静かな車内で、一枚の紙を見せてきた。

そこにはこう書いてあった。「逮捕状」。この時になってはじめて「逮捕」という言葉を聞かされた。

 

「逮捕状が出ているのでお迎えに来ました」となぜ最初に説明しなかったのか。

 

玄関先で10人で私を取り囲むという実質監禁状態で、その事実を知らされたからといって逃げようがないにも関わらず、話が聞きたいと言って騙して連れ去り、携帯電話を取り上げ、外部と連絡が取れない状況にして密室に監禁です。

 

 これを、拉致と言います。

 

話が聞きたいのか、逮捕がしたいのか。

話を聞くだけなら逮捕しなくても出来るので、「話が聞きたい」ではなく「逮捕がしたい」と初めから言ってもらえたら大変分かりやすいです。逮捕したら、いくらでも話が聞けるでしょう。

 

もちろん、拉致だ何だと抗議をしてみても埒が開かないので、真摯に受け止めています。笑

 

 

 

 

ゆかいな仲間達

 

 

同房のメンバーのこと。

一番気が合うKさんは、外国籍の40代女性で、面倒見がよく、優しくて、すでに二ヶ月いるというベテランだった。

 

私が、留置という名の強制合宿に連れ込まれたのは深夜だった。

すでに就寝時間を過ぎていたので、布団一式を抱えた状態で部屋へ案内され、こういうところではどう挨拶をするのか、それもままならず、部屋へ転がり込んだ。

昔から知り合いだったかのように、部屋の皆が布団カバーをかけるのを手伝ってくれた。

後に、Kさんとは、朝から晩まで抱腹絶倒の仲となる。精神が参るどころか、数年分笑ったので、もはや、免疫強化合宿となった。

Kさんは、自分のことを犠牲にしてでも相手に譲る心優しい人だった。

こんな神様みたいな人がなぜ捕まっているのかを、神様に聞きたい。

 

質素な具しか入っていないお弁当の中から、私の好きな物をいつもそっと分けてくれる。(担当官に目撃されたら、もちろん怒声が飛んでくる)

奇麗好きで、暇さえあればお掃除をしてくれる。トイレの中まで自主的にやってくれる。もはや、トイレの女神様。

それでいて、ユーモアがあってめちゃくちゃ面白い。Kさんが話すのは片言の日本語だけれど、通じ合えた。

言葉は心を越えない。心は国境を越える。

 

よく、逮捕されたら人生終わりだとか、仕事を失う、友達を失うと聞く。

自然界で友達と言える友達がまともにいなかった私は、皮肉にも、逮捕されたから分かり合える仲間が出来た。ありがとうと言いたい。名前も知らない君に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

留置場では敬語を忘れる


 
留置場での毎日が、あろうことか外に居るより楽しい時間を過ごせたのは、同房のメンバーに恵まれていたからだと思う。不幸中の幸いとはこれのこと。
 
 留置場はとても辛い、精神が参る、はじめて精神安定剤を飲んだとよく耳にするのとは裏腹に、朝から寝る寸前まで、腹を抱えて笑いっぱなしだった。こんなに可笑しくていいのかなと置かれた環境を疑うほどの抱腹絶倒の日々。

まず、留置場の中では、名前の代わりが番号で、例えば「567」なら、下2桁をとって「ろく・なな」と呼ばれる。

担当官
「ろくなな、弁護士先生来たよー!」
「ろくなな、起きて!」
「ろくなな、明日護送ね」

仲間
「ろくなな、何泊目?笑」

番号で呼ばれることが人権無視だという意見もあるが、自分はなんとも思わなかった。
外国ではファーストネームで呼び捨てにするのが一般的なのに比べ、日本では「さん」付けをするので、名前で呼んだところで他人とはどこか距離がある。そして、敬語で話すという日本の習慣があるが、警察官は職業柄、敬語を使わない。
留置場では、外国人が大半だったのもあって、敬語を用いずのラフな会話を交わしていた。
男主任と呼ばれる気さくな男性警察官とは、よく世間話をした。怖いイメージしかなかった女性担当官達も、フレンドリーだった。

ここでは、人との距離がとても近い気がした。






 

泣いて内偵を振り返る


逮捕勾留で、警察と濃密な時間をともに過ごしたことで、今では街でもどれが警察か自然と分かってしまいます。

 

特有の目の動きや目つきがありますからね。

 

 

では、内偵を笑って振り返りましょう。

逮捕直前の数ヶ月間で、「あの時のあれは警察の尾行だったな」と思うエピソードが幾つもあります。

 

辛うじて、逆の職務質問はしませんでした。

 


街を歩いていたら、ナンパを装って声をかけてきた男が、手当たり次第のナンパとは思えないほど、電話番号をしつこく聞き出そうとしてきたり、

待ち合わせの筈がないような場所で、待ち伏せをしている人がいたり、
お店の中でストーカーまがいのつきまといがいたり、

タバコを吸わないのに喫煙スペースで待機しているふりをしているのがいたり、
レストランで食事を終えて出たら、正面を向いて待っていた男が、歩き出すのと携帯を耳に当てるのと電話口で喋るのとを同時に始めたり、
人が一人もいない真夜中の静かな住宅街なのに、私が駅から出たら、そこにいた男がこちらの様子を把握しながら歩き出すのと携帯を耳に当てるのと電話口で喋るのとを同時に始めたり


「全部気づいてましたよ。だって、◯◯なのに◯◯なのは不自然だから」と突き詰めてみたところ、


「君は頭がいい。君が警察になったら、内偵の仕方を教える」と言われました。

 

警察になる気なんて1ミリも持ち合わせていないのに。



そんなこんなで、見抜くのは簡単です。

スーツを着ていても私服でも、共通するのは斜めがけのバッグなどで、両手を開けている。いつでも走れる靴を履いている。何かを見る時の目つきが獲物を睨みつけるような露骨な鋭さなので分かりますね。目つきでバレないように、携帯の画面を見ているふりをして、実はカメラ越しにこちらを観察していたり。

 

こんな話を聞いたことがあります。

 

銀座のママ曰く、「お客さんの中で職業が警察の人はすぐに分かる」だそうです。






 

逮捕は突然やってくる


青天の霹靂とはこのことで。。

緊急逮捕、現行犯逮捕、通常逮捕の3種類があって、
通常逮捕の場合は、平日の朝にやってくることが多いと聞く。

理由は、おそらく、休日は警察官も休みで人手が少ないことと、逮捕後48時間以内に検察へ送検しないといけないという決まりがあり、その留置場から検察への護送は、「一日一便」で朝9時頃までに着くように該当者全員一斉に出発するため、朝逮捕すれば、その48時間を精一杯使えるからだと予想できる。

本人が確実に家にいる時間ならば、朝も夜もそうであるが、逮捕後に取り調べが続くことを考えると朝が妥当。

そして通常逮捕の場合は、おそらく何ヶ月も前から内偵していて、本人の生活時間も把握した上で、ベストな時間にお迎えにくると思われる。
会社勤めのサラリーマンなら朝6時というまだ起きているかも危うい早朝にくる事もあるようですが、私の場合は、ゆっくり出勤するのをしっかり行動確認済み(笑)だったと思われ、警察のお迎えもゆっくり目の時間帯でした。

逮捕は事前に電話の一本もなく、ある日突然来ます。

携帯電話が鳴ったと思いきや、もうすでに玄関の前に大勢のお迎えの警察官がいるという状態です。

逃げることも隠れることもできません。いかなる事情も通用しません。居ることを知った上でお迎えに来ているので、勿論居留守は通用しません。

その場で手錠をかけられるとは限りませんが、「君と話がしたい」と口説き文句のようにアプローチしてくる場合も、逮捕と同義なので、諦めて応じるしかありません。